今回は、基本的なサーバーの種類や仕組み、メリット・デメリットなどの基礎知識を解説していきます。
サーバーという言葉には幅広い意味があり、使う場面によって変わってきます。
まずは、本稿で扱うサーバーの定義について説明します。 From/CPI
1.サーバーとは?
サーバーには、2種類の意味合いがあります。狭義には、要求(リクエスト)に応じて、なんらかのデータを提供するための仕組みのことで、Webサーバーやメールサーバーが該当します。
広義では、上記のようなサーバーを含むハードウェア全体を指し、レンタルサーバーや専用サーバー、VPSなどがそれにあたります。
本稿では、広義のハードウェアとしてのサーバーについて解説していきます。
2.インターネットとサーバーの関係
例えば、普段私たちがWebサイトを見るとき、サーバーはどこで関係してくるのでしょうか。
WEBサイトが表示されるまでの流れは下記です。
・WEBブラウザにURLを入力
・DNSサーバーへURLを送信し、IPアドレス(インターネット上の住所)へ変換
・該当IPアドレスのWEBサーバーにアクセス
・WEBサーバーからWEBページのデータを提供してもらい、WEBブラウザに表示
このように、インターネット上にはサーバーがたくさんあり、住所を指定してアクセスすることで、私たちは任意のデータをブラウザで表示することができます。
そして、このインターネット上のサーバーはすべて同じではなく、いくつか種類があり、その種類に応じてメリット・デメリットも存在します。
ここからは、そのサーバーの種類と違いについて解説していきましょう。
3.共用サーバー、専用サーバー、VPS、クラウド~それぞれの違いとメリット・デメリット~
ここでは代表的な4つサーバーの違いや、メリット・デメリットについてご紹介します。
・レンタルサーバー(共用サーバー)
・レンタルサーバー(専用サーバー)
・VPS
・クラウド
◇「共用サーバー」とは何か?
共用サーバーとは、レンタルサーバーの一種であり、サーバーを複数ユーザーで共同利用するサービス形態です。
共用サーバーの特徴は、CPUやHDDなどのハードウェアリソースを利用者がシェアする(共用する)という点にあります。サーバーのハードウェアリソースをフル活用できないため、個人のWebサイト、中小規模サイト、企業案内のみのサイト等の用途が考えられるでしょう。
ただし、共用サーバーは他のサーバーサービスより比較的安価で利用できる点はメリットといえます。
一方のデメリットとしては、サーバーをシェアしているため設定を自由に変えられない点、他の利用者がCPU・ネットワークを多く使うと、自身の処理に影響が出るという点が挙げられるでしょう。
◇「専用サーバー」とは何か?
専用サーバーは、物理サーバーを1台丸ごとレンタルして、大容量ストレージと物理サーバーのCPUやメモリを独占利用するサービスのことです。
専用サーバーのメリットとしては、他の利用者の影響を受けずにサーバーを使えることや、サーバーの管理者権限(root権限)を付与されるサービスを利用すれば、自由にサーバーの設定を変更できることが挙げられるでしょう。
一方デメリットとしては、自社でサーバーの運用・構築をしなければならず、共用サーバーに比べると運用コストがかかる点が挙げられます。
また、サーバーが専用でも回線が共用されている場合、他のサーバーによる回線利用の影響を受けることがあります。
◇「VPS」とは何か?
VPS(Virtual Private Server)とは日本語で「仮想専用サーバー」と呼ばれるサービスで、1台の物理サーバー上に構築された仮想サーバーを利用します。
共用サーバーと同じように1台の物理サーバーを共用しますが、仮想サーバーをレンタルするため、インストールするアプリケーションを選べるなど、サーバー設定の自由度が高いというメリットがあります。
また、仮想サーバーごとに使用できるハードウェアリソースが割り当てられ、それを専有して使えるので、他のユーザーの影響を受けにくいという点もメリットのひとつです。
ただし、物理サーバーの運用・監視は管理会社が行いますが、仮想サーバーの構築、設定、運用をユーザーで行う必要があり、導入・運用コストや工数がかかってしまう点がデメリットとして挙げられます。
◇「クラウド」とは何か?
クラウドはさまざまな意味で使われる単語ですが、ここではクラウドをサーバーとして利用する視点から解説します。
クラウドは、VPSと同じように仮想サーバーをレンタルするサービスです。しかし、クラウドはCPUやメモリ、ストレージを自由に決めたり、あとで変更したりすることができます。
このような拡張性(スケーラビリティー)・柔軟性は、クラウド最大のメリットといえるでしょう。
デメリットとしては、サーバー・ストレージ・ネットワークなどすべての設定を自社で行わなければならないため、利用には専門知識が必要になる点が挙げられます。
また、料金体系が従量制のため、予期しない大きな処理やネットワーク通信が生じた場合、使用料金が跳ね上がることがあります。そのため、予算計画を立てにくいという点もデメリットといえるでしょう。
まとめ
今回は、広義の物理的な意味でのサーバーとその種類や違いについて解説しました。
今回ご紹介した4つのサーバーには、それぞれメリット・デメリットがあります。メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、ご自身にとって適切なサービスを選んでみてください。